ラペルとボタンを残したまま、身体をもっと自由に見せるスーツは作れる。COMME des GARÇONS HOMME PLUSが2026年6月にパリで発表した2027年春夏は、「If The War Were To End..」を掲げ、戦争が終わった先を想像した。6月の作品を見直す今回は、川久保玲が男服の秩序をどう変えるかに注目する。縞は整然さだけを求めず、帽子も頭を収めるだけのものではない。
ストライプが秩序から動く線になる 冒頭はピンク、紫、ミントグリーンなどの縦縞を、長いアウター、シャツ、ボトムに重ね、それぞれの方向と間隔を残す。遠目にはスーツの縦線があるが、近づけば複数の層に分かれる。歩いて裾が開くと、縞は平面の柄でなく、裾、折れ、身体と動く。端正さを表す生地に、緩む余地が生まれる。
同じ色面でも仕立てとコートで密度が変わる。 中盤のパステル迷彩は別の方法を使う。青、ピンク、黄緑の柔らかな境界が、鮮色のシャツやカーキの下半身につながる。直線のチェックから有機的な曲線へ変わる意匠では、境界の融解が言葉だけでなく、柄が互いに入り込む様子に現れる。ポケット、襟、前立てを残しても、表面はフォーマルさを書き換え始める。
パステル迷彩が硬い境界を有機的な色面に変える。 二重帽と尖った靴で、比率を両端へ伸ばす HIZUMEとの帽子は不規則な二重のつばと垂れる帯で形を作り、白や淡い帽体が暗い背景に映える。顔から胸へ下がる帯は頭と服を結び、広がるつばは細長いコートと対照になる。小物は最後に添えるものから、全身の比率を変える構造へ移る。
HIZUMEの二重帽が頭と肩の比率を変える。 靴も身体の境界を扱う。2015年春夏の尖った靴がMexicanaとの協業で戻り、NikeやGeorge Coxなども合わせた。長い靴先と広い裾が緊張を作り、視線を頭頂から地面へ導く。これらはランウェイの組み合わせで、全モデルが価格と販売先を発表済みの独立したコラボ商品という意味ではない。
黒の土台の先で、色が集団の動きになる 黒は重要な基調だが、赤、ピンク、鮮緑が繰り返し入り、暗いジャケットが別の情報を受け入れる枠になる。終幕は鮮明なグラフィック服のモデルたちが一斉に走り、布と比率で作った緩みを集団の動きに変える。一人の服から複数人が占める空間へ、主題が時間の中で変化する。
後半も黒と明るい色が出会う。 終幕は複数の身体の動きで主題を広げる。 日常へのヒントは全身の再現ではない。異なる縞の大きさを比べ、明るいインナーを一部見せ、帽子と裾で上下の比率を変えられる。6月の発表は今、デザインの回顧として読むのが適切だ。商品情報は各地の正式案内を待ち、ランウェイの視覚提案と販売リストを分けて考えたい。