永井博の個展「STILL HERE」が、2026年10月22日に東京のGALLERY TARGETで開幕し、11月13日まで開催される。新旧約20点の原画が集まり、大滝詠一のシングル「君は天然色」に使われた原画も特別に展示する。レコードジャケットを通して永井を知った人には、音楽のイメージから絵画そのものへ戻る入口となる。海、プール、ヤシの木、建築という見慣れた要素を、一つの展覧会の中で見直せる。
永井博がシティポップと結び付けられる理由 1947年に徳島で生まれた永井は、1970年代から広告や出版のイラストを手がけ、1981年の大滝詠一のアルバム「A LONG VACATION」のアートワークで広く知られるようになった。その風景画は、日本のシティポップを象徴するビジュアルの一つになっている。この関係は、多くの聴き手が作品に触れた経緯を説明する。一方で、アルバムに使われた画像と、画家が長く積み重ねてきた風景表現には、それぞれの見方がある。
海岸風景と展覧会名を組み合わせた「STILL HERE」のビジュアル。 「STILL HERE」では新作と旧作を一緒に見ることができ、最も有名なジャケットを探すだけでなく、細部を比較する楽しみがある。約20点という構成の中で、水平線の位置、空を分けるヤシの木、手前から奥へ視線を導くプールの縁などを繰り返し観察できる。レコードを網羅していなくても、画面から考えられる問いだ。
プール、夕景、建築はどう画面を作るか 公開された作品の一つでは、大きな青いプールを中心に、白い縁、芝生、ヤシの木が明確な色面を作る。別の作品では、紫色の空と水辺の建築の前に、ヤシの木がシルエットに近い姿で立つ。同じような要素でも色温度の違いによって時間の感覚が変わる。これは画像から見て取れる変化であり、特定の実在するリゾートを描いたと断定するものではない。
紫色の空の下でヤシの木、建築、水面が重なる。 さらに、深緑の木々に囲まれた曲線的なプールでは、赤いパラソルが小さな明るいアクセントになる。曲線と直線、平らな水面と密集した植物の差が、静かな場面の中で視線を動かす。懐かしい背景としてだけ見ると、奥行きや色の割合の構成を見落としやすい。作品ごとに物語を決めつけるより、こうした具体的な関係から見る方が確かだ。
曲線的なプールと深緑の木々、赤いパラソルが対比を作る。 原画と複製画像、展覧会情報を分けて見る 「君は天然色」の原画の特別展示は、音楽の聴き手がまず覚えておきたい見どころだ。新旧約20点は、より広い比較の範囲を作る。レコード、本、スマートフォンに合わせて縮小や再配置された画像と、原画では比率の関係も異なる。会場では作品寸法や表示を確認し、知っている画像を見つけることから構成の観察へ進みたい。画面の色が原画と完全に同じとは限らない。
会期はすでに始まっており、11月13日まで。会場は東京・渋谷のGALLERY TARGETだ。出かける前に画廊公式サイト で当日の開場案内や告知を確認したい。掲載画像は公開作品画像で、TIDEZINEによる現地撮影ではない。原宿や渋谷の予定に組み込むなら、レコードの記憶と目の前の構成を結び直す、具体的な作品の手がかりがある立ち寄り先になる。