もともとリンゴ・スターが歌っていたフレーズを今度はポール・マッカートニーが歌い、逆にマッカートニーのパートはリンゴが引き継ぐ。「Flip Mix」と名付けられたこの〈Home To Us〉リミックス版は、原曲でのデュエット分担を丸々入れ替えたもので、今回の特別版の中でもっとも直球かつファン心をくすぐる仕掛けだ――同じ曲を、違う耳で聴く2人のビートルズ・メンバー。
〈Home To Us〉はもともと、マッカートニーが今年5月にリリースしたアルバム『The Boys of Dungeon Lane』に収録されていた曲だ。これは2020年の『McCartney III』以来となる彼のソロ・スタジオアルバムであり、リンゴ・スターとの初のソロデュエット曲でもある。アルバム全14曲は、リバプールでの幼少期、両親の不屈の精神、そしてジョージ・ハリスンやジョン・レノンとの売れる前の少年時代を描いている。リリース後は世界的にアルバムチャート1位を獲得し、2026年マーキュリー・プライズの年間ベストアルバム12作品にもノミネート――マッカートニーにとってキャリア初のノミネートとなった。
今回発表された特別版には、〈Home To Us〉の入れ替えバージョンに加え、オリジナルアルバムと同時期に書かれながら未発表だった新曲3曲〈City Fox〉〈One Night Stand〉〈Chelsea Boots〉も収録されている。オリジナルの14曲と合わせ、特別版は全18曲に拡張。デジタル版はすでに配信開始済みで、実盤は12月9日発売予定。アナログ盤の一つは限定2LPのオレンジ×ブルー・マーブル仕様で、ゾエトロープ・エッチングデザインが施される。新版ジャケットはすべて、イラストレーターのケイト・ギブが100枚以上のマッカートニー私物写真をコラージュして制作したシルクスクリーン作品に一新された。
マッカートニーはInstagramでこのアルバムの始まりについて語り、すべてはマネージャーから「アンドリュー・ワットに会ってみない?」と聞かれたことから始まったと明かした。「行ってみて、お茶を飲みながら座って話していたんだ。そのうち演奏を始めて、僕がちょっと狂ったコードを弾いたら、そのままずるずると続いていって、自分たちが満足できる曲を作る制作の旅になった」。彼はこのプロセスを「砂場で遊ぶ2人のDungeon Lane少年みたいだった」と表現し、「僕らのDungeon Laneの旅は、この特別版とともにまだ続いている」と語った。
新版アルバムのプロモーションとして、マッカートニーは『ジミー・キンメル・ライブ!』のブルックリン特別回にも出演。ロサンゼルスでの小規模なライブで、脚本家のラリー・デヴィッドがみんなと一緒に歌うのを拒んだことに触れ、「もう彼を自分のライブに呼ばない」と冗談を飛ばした。