ランニングのコミュニティは服作りに何をもたらすのか。東京の文化服装学院にあるBunka Running Club、通称BRCが一つの具体例になる。2023年発足の同クラブには現在約80人の学生が所属する。月例ランには学生約20人に学外のファッション関係者などを加え、計約30人が参加。運動する集まりであると同時に、教室で考えるパターンや素材、着用感を動く身体で確かめる場にもなっている。
代々木公園へ、5〜7キロから始まる学科を超えた交流 BRCでは授業後に近隣の代々木公園へ走ることが多く、距離は約5〜7キロ。この共有体験が、異なる学科の学生に時間割を超えた接点を与える。走った後の食事や会話も結びつきを支えており、ペースや距離だけで説明できる集団ではない。続けて参加したくなる理由には、一緒に走る人の存在も大きい。
夜にグループで走るBRCのメンバー。 卒業生もグループランに戻ってくる。2026年3月に卒業し、ゴールドウインのTHE NORTH FACEデザインチームに加わったOBも参加を続ける一人だ。学生、卒業生、業界で働く人が同じ道を走ることで、仕事や関心事、日常の話題が交わる。ただし、これは特定のコミュニティの経験であり、ランクラブへの参加が就職を約束するものではない。
夜の道を進むランナーたち。 TANNUKIとの協業、紙上のデザインを走る現場へ 始まりは2022年、TANNUKIの加藤賢ディレクターが学生との協業を学校に提案し、德岡慧先生につながったこと。翌年、学生3人と先生によってBRCが発足した。その後は毎年商品を開発し、11月の文化祭で販売。2026年は第4弾を予定する。会員が増えてから産学連携を始めたわけではないことも、この経緯から分かる。
BRCとTANNUKIの協業商品の企画開発。 協業商品の制作と開発に関わる学生。 開発の中心は修正を重ねることにある。ブランドがランニングに必要な機能や文化を伝え、学生がデザインを提案し、サンプルを着てグループランに参加。丈やパターンなどを確かめる。価値があるのは、見え方だけでなく動いた時のあり方に判断を広げられる点だ。立った姿のバランスだけでは、腕振りや発汗、継続的な運動への対応までは分からない。
ランニングの服装をファッションの視点で見る 公開写真にはジャケット、ボーダーのトップス、ショーツ、身体に沿うパンツなど、多様な組み合わせが見られる。制服のような統一感ではなく、それぞれの日常の服とランウェアがつながっている点が興味深い。重ね方、パンツ丈、靴のバランスを比べ、自分の活動に関係する要素を考えられる。ただし写真自体は機能試験ではない。
ジャケット、ショーツ、身体に沿うパンツの重ね方。 ボーダートップスと暗い色のボトムのランスタイル。 BRCはTANNUKIの春のイベントにも参加し、学生が自作のランウェアを展示販売する。走ること、試着、商品交流がつながるこの例は、コミュニティの創造性が見た目だけでなく、継続使用とフィードバック、修正の機会から育つことを示す。日本の服飾教育に関心がある人には、若い作り手が実際の着用ニーズに出合う様子を知る窓となる。
TANNUKIの春のイベントで自作ランウェアを展示販売する学生。