車がまだ姿を見せていないうちに、最も象徴的な予約者2人がすでに離脱してしまった。これはおそらく、テスラの新型ロードスターがこの9年間置かれてきた状況を最もよく物語るエピソードだろう。
テスラの公式Xアカウントは、この完全電動スーパーカーが10月10日に正式発表されることを確認した。テスラの公式サイトにもカウントダウンページが同時に掲載されており、そこに添えられた画像から、長年噂されてきた「コールドガス・スラスター」を示唆しているのではないかと外部では推測されている。これはまさに2017年のプロトタイプ発表時に、テスラCEOのElon Musk氏が語った「SpaceXパッケージ」の目玉であり、ロードスターに一種の飛行能力を与える鍵となる装備だ。テック系メディアThe Informationは今年8月、テスラが近くロードスターを発表する予定であり、特に飛行機能について言及していると報じていた。この能力が実際どのような形で実現するのかは依然として不透明で、Cybertruckの「Wade Mode」のように、期待ばかりが先行して中身が伴わない結果に終わる可能性も否定できない。
時計の針を2017年に戻すと、ロードスターのプロトタイプが初披露された際、テスラが打ち出したスペックは驚異的なものだった。0-60マイル加速は2秒未満、最高速度は250マイル超、航続距離は600マイル超。ベースモデルの価格は20万ドル、Founder's Editionは25万ドルとされ、一般消費者が予約するには、まず5万ドルのデポジットを支払う必要があった。
しかし9年の歳月が流れる中で、「待つこと」はいつしか「様子見」に変わり、「様子見」はやがて「諦め」へと変わっていった。OpenAI CEOのSam Altman氏や、テック系YouTuberのMarques Brownlee氏を含む複数の早期予約者たちは、すでにロードスターの予約をキャンセルしている。この2人はテック業界において決して軽視できない存在であり、彼らの予約キャンセルは、何度も先延ばしにされてきた発表スケジュールが、単なる忍耐だけでなく「約束」そのものへの信頼をも蝕んできたことをある意味で物語っている。
テスラのこれまでのスケジュール遵守の実績は決して芳しいものではなく、今回の10月10日の発表が予定通り実現するかどうかは、当日になってようやく明らかになるだろう。