クリストファー・ノーラン監督の新作『オデッセイ』は、モロッコの古城やビーチなど実在の地形を使って撮影されており、内陸の泥レンガ古城と大西洋岸の港町という、モロッコの対照的な2つの風景が、作中のトロイア物語の具体的な背景となっている。
アイット・ベン・ハッドゥ古城はワルザザート近郊に位置し、ユネスコ世界遺産に認定されている。積み重なる泥レンガ建築とアトラス山脈を背景にした開けた地形で知られる。撮影隊はここに2.5エーカーに及ぶ、360度のパノラマを備えたトロイア城のセットを組み上げ、城内には高さ48フィートのアテナ神殿も建てられた。この大規模な改造により、古城は撮影期間中、普段とはまったく異なる様相を呈し、数千人のエキストラがトロイア陥落の場面に参加した。
アイット・ベン・ハッドゥ古城の積み重なる泥レンガ建築。撮影隊はここに大規模なトロイア城のセットを組み上げた。 画像: Toa Heftiba/Unsplashアイット・ベン・ハッドゥはマラケシュからどのくらい離れているか
マラケシュを出発し、アトラス山脈を越えてアイット・ベン・ハッドゥ古城へ向かう場合、紹介されている所要時間は約3時間半だが、実際は道路状況や出発地点によって変わる。このルート自体がモロッコ内陸部の地理を凝縮したものであり、都市平原から山岳の峠へと徐々に標高を上げ、再びワルザザート一帯の乾燥した谷へと下っていく先に、この古城が位置している。地理的条件から見ると、古城の泥レンガ構造と開けた地形は、画面上で泥レンガ建築と地形が交錯する視覚的な奥行きを生み出している。
エッサウィラはどのように木馬上陸の場面を再現したのか
映画の中でトロイアの木馬が砂に半ば埋もれ、まるで波から引き上げられたかのように見える場面は、実際にはエッサウィラのビーチで撮影された。エッサウィラはモロッコの大西洋岸に位置し、ウィンドサーフィンとメディナ(旧市街)で知られる港町である。町にはブルーの鎧戸がついたピンクがかった白い家々や、ポルトガル人によって築かれた海防壁が残っており、これらの歴史的痕跡が、町独特の海岸風景を形作っている。
アイット・ベン・ハッドゥの内陸の乾いた風景とは対照的に、エッサウィラの海岸線はまったく異なる撮影条件を提供した。開けた砂浜、絶え間なく吹く海風、大西洋の波——これらの自然要素は、木馬上陸シーンの画面構成に直接取り込まれている。両地の地理的な違いは、『オデッセイ』の制作陣がロケ地選定において、物語の異なる段階に対応する実在の場所を意図的に探し求めていたことも映し出している。
エッサウィラのビーチ沿いの風景。映画でトロイアの木馬が上陸する場面がここで撮影された。 画像: Peter Schulz/Unsplashアイット・ベン・ハッドゥとエッサウィラというこの2つのロケ地は、作中でそれぞれ陸上での包囲戦と海上漂流の場面を担っており、両地は遠く離れているものの、この映画の実景撮影戦略を象徴する中心的な事例を共に形作っている。映画のセットと一般的な観光地は切り分けて考える必要がある。撮影のために組まれたトロイア城や神殿は、現在もそのまま残されている、あるいは見学できることを意味するものではない。この映画をもとに旅行を計画する場合は、古城と海岸そのものの現行の公開情報を確認する必要がある。