ミュウツーの首の後ろから身体へと繋がるあのケーブル。adidasのデザインチームはそれをそのままSpezialのヒールへと移植し、ぐるりと一周するプルタブへと作り変えた──シューズ全体のストーリーを支える重量感のあるディテールだ。これは単にキャラクターのグラフィックを貼り付けただけのコラボではない。ポケモンの身体構造を解体し、ラストや金具の構造へと再配分していく緻密なエンジニアリングこそが、Pokémon30周年を記念するこの全12足を成立させている。
ピカチュウは3足を獲得しもっとも大きなウェイトを占める。もっとも直感的なのはPro Modelと、そのうちの1足のSuperstarだ。ボア素材のイエローのアッパーがピカチュウの毛並みの質感を再現し、ブラックのディテールとモンスターボール型のシューレースロックが組み合わされている。もう1足のSuperstarはその逆を行き、ホワイトのシューズボディにピカチュウ柄を全面プリント。ボア系の濃密な雰囲気を、フラットなイラストレーションの軽やかなトーンへと置き換えている。リザードンの進化ラインもこのロジックに沿って展開される。Superstar「ヒトカゲ」はクリーム色とオレンジを重ね、幼体らしい穏やかさを表現。「リザード」はクリムゾンのアッパーに爪型の三本線ロゴを合わせ、そして「リザードン」ではアイレットの上に翼型のフラップを直接重ねている──このデザイン語彙は、Jeremy Scottがかつてadidasのラインで多用していた誇張的な手法を彷彿とさせる。
ダークトーンが次のセクションを引き継ぐ。Adistar XLG 2.0「ゲンガー」はディープパープルでシューズ全体を覆い、キャラクターイラストがタンに配置される。Adistar Control 5「ゴースト」はゴースト系の不穏な雰囲気を継承し、シャープなレイヤリングと陰鬱なカラーリングでキャラクター設定を呼応させている。両モデルともadidas本来のパフォーマンスシューズのラストをベースにしており、構造感でテーマを支える点が単なるカラー替えとは一線を画す。
ミュウツー、3つのシルエットへの翻訳
ピカチュウに次いで今回もっとも多くのモデル展開を得たのがミュウツーで、3足にまたがる。Samba OG「ミュウツー」は三角形のアイレットデザインを、キャラクターの指の形を想起させるディテールへと落とし込んだ。ZX 8000「ミュウツー」はラベンダーとバイオレットのトーンにモンスターボール型のシューレースロックを組み合わせている。Spezial「ミュウツー」は先述したヒールのプルタブによって、この遺伝子操作生物のバイオエンジニアリング的な感覚を具現化した。3足それぞれが異なる角度から同一キャラクターに切り込んでおり、コレクション全体の中でもっともデザイン密度の高いパートとなっている。
締めくくりを飾るのはボルトロスで、こちらも2足展開。F50 Tunit Mega「ボルトロス」はMegarideのソール構造とサッカーシューズならではの構築ロジックを維持し、Adistar Control 5「ボルトロス」はadistar系のパフォーマンス路線を踏襲する。両モデルともグリーンとブラックの配色で、この伝説のドラゴンの鱗の質感を表現している。コレクション全体を貫くのは、モンスターボール型のシューレースロック、キャラクターイラストが施されたタン、そしてカスタムレイヤリングだ。これらの繰り返し登場するエレメントが、adidasのシューズ系譜とポケモンのキャラクター設定を、それぞれ独立したものとしてではなく、一つに結びつけている。
Pokémon x adidas Originals 30周年記念コレクションは2026年9月、adidas.comおよび指定取扱店にて世界発売予定。価格は未発表。






