純利益が15億円増、前年比17.2%増——一見良いニュースに聞こえるが、実は減益だ。三越伊勢丹ホールディングスが8月13日に発表した業績予想の修正で、最も誤解されやすいのがこの数字だ。純利益予想は630億円で上方修正されたように見えるが、実際には前期を下回っている。理由は前年同期に関係会社株式の売却による一時的な利益があり、基準値が押し上げられていたためだ。本当に注目すべきは、売上高と営業利益の上方修正幅、そしてその裏にいる最も財布の紐が緩い顧客層である。
2027年3月期の連結業績予想では、売上高が期初計画から100億円上方修正され1兆3600億円、前年比4.7%増。営業利益は25億円上方修正され840億円、前年比5.0%増となった。この上方修正を支えたのが、発表されたばかりの2026年4〜6月期の業績だ。売上高は3207億円で前年比6.5%増、営業利益・純利益ともに同期間の過去最高を更新し、それぞれ前年比20.6%増、18.5%増となった。
しかし、今期のキーワードは客単価だ。三越伊勢丹グループ内で1回の購入額が300万円以上の顧客の売上は前年比16%増、1000万円以上の顧客は同17%増——全体の6.5%増を大きく上回る。つまり今回の成長は、来店客数の増加によるものではなく、既存の高額消費層がより多く購入した結果だ。7月の速報では、国内顧客の売上は前年比3.6%増だったのに対し、海外顧客は32.1%と大幅増。昨年一時低迷していた中国人顧客の購買力も6月から回復している。
店舗別では、伊勢丹新宿本店が1069億円・前年比10.0%増でトップを走り、岩田屋三越が326億円・同8.0%増で続いた。一方、改装中の名古屋三越は前年比2.2%減、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店、札幌丸井三越もそれぞれ小幅な減少となった。
費用面では引き続き削減が進む。物価上昇にもかかわらず、販売管理費は経費構造改革により期初計画から10億円削減され2620億円となった。グループのクレジットカード事業「エムアイカード」は今期中に新たな上位カードの投入を予定しており、狙いは明らかに今季の成長を支えたあの富裕層だ。






