公式展示写真では、「Wind Field II」の細長く発光する部材、機械の台座、ケーブルが、時間の跡を残す室内にそのまま置かれている。新しいシステムは古い空間を滑らかな別の表面で包まない。この並置に注目したい。建築は容積を提供するだけでなく、環境がかつてどう使われ、今どう感じ取られているかを同時に考えさせる。これは写真とキュレーション資料に基づく読み解きであり、現地訪問の記録ではない。
展示は3つの実体インスタレーションと、3つの没入型VR作品から構成される。「The Past Is a Foreign Country」はフィンランドのタール生産と、その産業・環境への痕跡を起点に、地域史を光と音の物語へ運ぶ。「Accord-Désaccord」は、人と人、人と環境の関係が差異のなかでどう調整されるかを考える。入口となるのは特定の技術を理解することだけではない。技術と歴史は、もともと切り離されていないと気づくことだ。
「Wind Field II」は風速、方向、音をデータや演算、光のリズムへと置き換える。手でつかめない風も、測定し、翻訳し、別の形で目の前に戻すことはできる。重要なのは自然の複製に成功したかどうかだけではない。自然を読み取り可能な信号として扱うとき、何が見えるようになり、どんな感覚がモデルの外に残るのかという問いだ。
台湾とフィンランドの協働も、作品の内部へ具体的に入り込む。フィンランドの作曲家・サウンドアーティストLau Nauは「The Past Is a Foreign Country」の音楽に参加。10月25日の閉幕イベントでは、オウルを拠点とするTaikaBoxとサウンドアーティストJussi Alaraasakkaがライブを行う予定だ。生身の身体が動く装置の間に入ると、インターフェースは観客と機器の関係だけではなくなる。演者が空間、機械、互いの身体にどう応答するかも含まれる。これから行われる公演は、最後に一つの問いを残す。身体は装置の読み方をどう変えるのだろうか。