一般的なスニーカーは接着剤で作られる。アッパー、ソール、インナーが何層も接着され、どこかが壊れてもその部分だけを直すのは難しい。カザフスタン・アルマトイ出身のデザイナー、ダニヤル・ウデルベコフによる「UDRB」はその逆を行く——靴全体に接着剤を一切使わず、紐を巻きつけて固定する構造で、分解すればそれぞれ独立した3つのパーツになる。
ソールは3DプリントによるTPU(熱可塑性ポリウレタン)製。この素材自体がリサイクル可能で、擦り減れば粉砕して再びプリントし直すことができ、形状やクッション性も足の形に合わせて調整できる。ソールの上にはめ込まれるのは、中央アジアやコーカサス地方の伝統的な履物「マフシ」や「イチギ」を参考にしたレザーインナーブーツ——柔らかく、フィット感があり、保護性も高い。このインナーブーツは全体のセットから外して、単独で室内履きやアウトドア用として使うこともできる。両者を実際に固定しているのは靴紐ではなく、登山用ロープとパラシュート素材を使った締結システムだ。ロープはソールの下から通り、足の甲を回って締め上げる構造になっており、締め具合は自分で調整できる。ウデルベコフがこの2種類の素材を選んだ理由はシンプルで、耐久性と調整のしやすさに加え、アルマトイという山岳地帯の地理的環境にも通じるからだという。
このシステム全体で使われている素材はTPU、レザー、ロープ&パラシュート素材の3種類のみ——一般的なスニーカーによく見られる複合素材と比べるとかなりシンプルだ。接着剤を使わないということは、壊れた部分だけを交換できるということでもある。ソールが擦り減れば再プリントすればいいし、レザーインナーブーツが古くなれば単独で取り替えることができ、ロープが緩んでも靴全体を廃棄する必要はない。今回発表されたのはUDRBのアップデート版で、初期のモジュール構造というコンセプトはそのままに、締結システムを改良。調整の幅を増やし、安定性も高めている。プロジェクトは現在、実験的なプロトタイプの段階から、実際の量産に向けた準備を進めている段階にある。






