赤が退場し、グレーが登場。「The Roy」がこのシューズ初めて姿を現したのはTEDxPortlandのステージ上だった。鮮やかな赤のカラーリングは講演会場のスポットライトと相まって、記憶に残るために生まれたとしか思えない存在感だった。今回の「Elephant」カラーはその逆をいく。全体を同色のグレートーンでまとめ、コントラストも差し色のディテールも一切なし。唯一の見どころは、シューズボディ表面にぐるりと巡る分割式のベンドグルーヴだけだ。
このシューズを手がけたのはベテランフットウェアデザイナーのSteven SmithとCrocs Creative Innovation Team。構造面では一貫した手法を貫いており、シューズ全体を一度の射出成形で仕上げ、アッパーとアウトソールを別々に裁断・縫製することなく、Mellowフォームを一体で流し込んでいる。この製法のメリットは反発クッション性と軽量性を両立できる点だが、代償として従来のシューズがステッチや切り替えで生み出す表情の深みが失われてしまう。デザインチームが編み出した解決策は、アッパーとアウトソールに分割式のベンドグルーヴを加えること。これにより足首の動きに合わせてシューズが自然に屈曲し、同時に通気性と温度調節も確保している。









