普段は製品開発の課題に向き合うインハウスデザイナーが、自分の夢から考えたら、どんなプロトタイプが生まれるだろう。東京・六本木のAXIS Galleryでは、2026年10月30日から11月8日まで「Industrial Romanticism 2」を開催し、8社のデザイナーによる未発表の試作を紹介する。入場は無料。通常は11:00〜20:00、最終日の11月8日は17:00までとなる。10月29日のプレスプレビューとレセプションは、一般公開の初日とは区別したい。
8社が持ち寄るのは試作、店頭商品の発売会ではない
参加企業はシャープ、ソニーグループ、TOTO、パナソニック、富士フイルム、ポーラ、三菱電機、ヤマハ。2025年秋の初回に続き、今回は参加企業の領域を拡大する。映像、音響、家電、楽器、さまざまな生活製品に携わる経験が一つの場で出会う。展示物は探究のための提案であり、企業名が身近だからといって、価格や予約開始が決まった量産新製品と受け取るべきではない。
企画・ディレクションは松山祥樹、横関亮太、アクシスが担当。主催者はロマンティシズムを、経済条件や技術の進歩だけから未来を予測するのではなく、デザイナー個人の夢や感情へ目を向ける言葉として捉えている。見る側も仕様表から離れ、物が投げかける問いへ意識を移せるだろう。人にどのように近づき、眺め、使ってほしいのか。個人の好奇心が企業のデザインに入ると、見慣れた製品と違うどんな形が残るのか。これは鑑賞の入り口であって、非公開の性能を推測するものではない。
まず4組のディテールを見て、会場で全体の提案に出会う
公式予告の作品写真は、部分から想像を広げる構成だ。ソニーグループのデザイナーの画像には暗い曲面、メッシュ状の面、紫の細部が見え、富士フイルム側には銀色の輪郭を持つ青い円形物体がある。もう一枚の二連画像には三菱電機のデザイナーによる暗色の細長い形と、ヤマハのデザイナーによる淡い木のコーナーが写る。キャプションから会社とデザイナーの帰属は確認できるが、外形だけでヘッドホン、カメラ、特定の楽器と断定はできない。
公式作品予告の二連画像。左はソニーグループのチーム、右は富士フイルムのチームの作品部分。
公式作品予告の二連画像。左は三菱電機、右はヤマハのデザイナーによる作品部分。これらは、まだ開幕していない展示空間の記録写真でもない。会場では部分の写真と全体の形を比べ、素材の端、比率、触れる位置で理解がどう変わるかを見たい。主催者は見る、触れる、体験することを呼びかけるが、すべての作品を自由に操作できると広げず、現場の案内に従う必要がある。主視覚は谷内晴彦、空間デザインは歌代悟と長田百加、サウンドデザインは森尾拓斗が担当。視覚、空間、音も鑑賞をたどる手がかりになる。
いつ、どう行く?無料鑑賞とイベント予約を分けて計画
会場は東京都港区六本木5-17-1、AXISビル4階。公式アクセス案内では、六本木駅3・5番出口、六本木一丁目駅2番出口、麻布十番駅7番出口から、それぞれ徒歩約8分とされる。所要時間の目安であり、到着時刻を保証するものではない。一般鑑賞は無料だが、11月8日は17:00閉場なので、ほかの日の20:00に合わせて夜の予定を組まないようにしたい。
会期中に告知された3つのイベントは別途申込が必要だ。11月1日18:00〜19:30はデザインイベントから未来への問いや兆しを探るトーク。11月4日18:00〜20:00のStudent Nightは学生とインハウスデザイナーの交流の場となる。11月5日18:30〜20:00は個人と組織が拓くRomanticismを考える。展覧会の入場無料はイベントの席が自動確保される意味ではない。内容、定員、参加条件は主催者の告知から申込ページへ進んで確認し、どの夜の交流と鑑賞を合わせるか選びたい。