Augustus Mullerは、このミックスをベッドに寝転がりながら録音したと語り、「トランジションが少し粗いけど、大目に見てほしい」と打ち明けた。この何気ない告白こそが、Boy HarsherによるこのFADER Mixの本質を物語っている。緻密に作り込まれたDJセットではなく、このダークウェーブ・デュオがこの夏繰り返し聴いていた曲、そして新作アルバムのサウンドを形作った音楽的DNAを記録した、いわば個人的なリスニングノートなのだ。
Jae MatthewsとAugustus Mullerによるユニット、Boy Harsherは2024年に恋人関係を終えたが、バンド活動は継続することを選んだ。9月18日には新作アルバム『GET MEAN』をリリース予定で、18曲を収録したこのFADER Mixは、アルバム正式配信前のサウンド予告となっている。MullerはThe FADERに対し、このプレイリストについて「今年の夏、僕らが気ままに聴いていたものと、このアルバムに影響を与えた音楽をミックスしたもの」と語っている。
ミックスはオーストラリアの作曲家Lawrence Englishの陰鬱なサウンドスケープで幕を開け、続いてジャズギタリストLes Paulの〈Hawaiian Paradise〉へと移行。その後Pet Shop Boys、Severed Heads、Trisomie 21といったシンセ・ミニマルやポストパンクの名前を巡り、最後はArthur RussellとML Buchで締めくくられる。Matthewsは特にJudie Tzukeの〈Shoot From The Heart〉を最近繰り返し聴いていると言及し、「この夏はThe Crying Nudesもかなり聴いていた」と語った。
ニューブラウンフェルスのMatrix 12、そしてメキシコシティ郊外にいた黒犬Batman 『GET MEAN』のレコーディング地は分散しており、それぞれ異なる雰囲気を持つ。二人はテキサス州ニューブラウンフェルス(New Braunfels)にある、Syntaurがスポンサーとなった小さなレコーディングスタジオに入り、そこには自由に使える大量のシンセサイザーがあった。Mullerはそこで初めてMatrix 12を使用したという。一方Matthewsが最初に筆を執った場所は、メキシコシティ郊外の山間部にある半ば廃墟と化した邸宅Oyamelesだった。建築はFrank Lloyd Wright門下の建築家によるものだが、より有機的なスタイルを持つ。邸宅には気性の荒い馬たちと徘徊する雑種犬の群れがおり、その中でBatmanという名の黒犬が特に彼女に懐き、毎晩部屋の外で見守っていた。また、Soledadという地元の女性が暖炉に火を起こすのを手伝ってくれた――それが家の中の唯一の暖房源だった。「孤独で、奇妙な体験だった」とMatthewsは語る。「でも、執筆を始めるにはとても良い出発点だった」
制作過程で二人はそれぞれ収穫を得た。Mullerはこのアルバム制作中に「ギターへの愛情を再発見した」と語る。一方Matthewsは深刻な創作の行き詰まりに陥っていたことを認め、「自分に余裕と寛容さを与えて、新たに書き始めることにした」と語った。これにより彼女は異なる語りと歌唱のモードに入っていったという。彼女は『GET MEAN』について、Boy Harsherがこれまで培ってきた音楽的な枠組みの中にありながらも、「多くの曲に自然な変化があって、正直に言うと、それはすごく自由な感覚だった」と表現した。
関係が破綻した後もどうやって協働関係を維持しているのかという問いに、Mullerはこう答えている。「どんなに混乱して、辛い状況になっても、僕らはこのバンドを諦められないと分かっていた。まだ探求すべきことがたくさんあるから」。Matthewsの言葉はより率直だ。「一時期は、Gusのそばにいるとタバコを吸いたくなるか、吐き気がするか、泣きたくなるかのどれかで、平気ではいられなかった。幸いなことに、そういう本能的な反応は徐々に薄れていって、奇妙な信頼関係に変わっていった。私たちは一緒にどん底まで落ちたことがあるから、彼のことを理解しているし、信じてもいる――たいていの人よりずっと深く」
Boy HarsherのFADER MixはSoundcloud、Youtube、Mixcloudで既に公開されている。『GET MEAN』は9月18日発売予定。