今回のキャスト交代はさほど意外なものではない――Kit Haringtonは昨年12月にAudibleがリリースしたフルキャストオーディオブック『Harry Potter And The Chamber Of Secrets』で、すでにギルデロイ・ロックハート(Gilderoy Lockhart)役の声を担当していたからだ。今回HBOの実写ドラマ版が彼を正式に起用し、今月発表されたばかりで日程の都合により降板したNicholas Houltの後任として迎え入れることとなった。
『Entertainment Weekly』の報道によると、Houltの降板は他2作品の撮影スケジュールと重なったことが原因だという。ロックハートは『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に登場する、自惚れが強く大言壮語を吐く魔法使いで、原作小説第2巻でホグワーツの闇の魔術に対する防衛術教授に就任するキャラクター。2002年の映画版ではKenneth Branaghが演じた。Haringtonはオーディオブックのオファーについて『Variety』のインタビューで「非常にシンプルな『イエス』だった。このキャラクターが好きだから、深く考える必要もなかった」と語っている。
なお、Houltがこの役を引き受けた際には、一部ファンから反発の声が上がっていた。原作者J.K. Rowlingがトランスジェンダーを巡る問題で物議を醸す立場を取っていることが理由で、彼女は現在この作品の製作総指揮も務めている。あるファンは「彼への好感はもう完全に消え失せた」と率直に語っていた。
他のキャスト陣もRowlingとの立場の違いを次々と公にしている。ペチュニアおばさん役のBel Powleyは、この問題に関するRowlingの見解に「強く同意できない」と述べ、「トランスジェンダーの人々は安全、尊厳、尊重、そして完全な受容を得るべきだ」と語った。ダンブルドア役のJohn Lithgowは、一度は製作から降りることを検討したものの、最終的には続投を選んだことを明かし、Rowlingの立場を「皮肉であり、理解しがたい」と表現。一方で原作小説については「偏見や差別に対抗する側に明確に立っている」との見方を示した。ハグリッド役のNick Frostは「自分の考えはRowlingとはまったく噛み合わない」とコメント。スネイプ役のPaapa Essieduは、英国の芸能界にトランスジェンダーの権利保護を呼びかける公開書簡に署名した。
HBOドラマ版シーズン1はクリスマスにHBO Maxで配信開始予定。シーズン2は今年秋にクランクインする見込みで、Harington演じるロックハートは新たな撮影で初登場することになる。