バンコクのPlay Art Houseでは、米国人アーティストTrey Hurstの個展「At the Threshold」を開催中。会期は2026年10月10日〜11月8日。バンコクを拠点とするHurstが2023〜2026年に展開した絵画をつなぎ、人物像を抽象と識別できる形の間にとどめる。画中の記憶は完結した物語ではない。残る輪郭がある一方、新たな筆致に覆われる部分もあり、人物は現れつつ消えていくように見える。「誰が描かれているか」を当てるよりも、像がどう描き出されるのかを見ることが入口になる。
「Advent 02」は深い青と乳白色の弧を重ね、頭部に似た形を識別の境界にとどめる。「Structure of Memory 01」の青白い輪郭は互いを包み、暗い地に深い隙間を残す。
青い2作品から、寸法と輪郭を見比べる
「Structure of Memory 01」もキャンバスにアクリルで、95×135cm。よりコンパクトな画面で青、白、暗い地が重なり、縦長のアーチ状の輪郭が深い空洞を包む。顔の一部のようでも、決まった表情にはならない。「Advent 02」と並べて見ると、一方で白が広がり、もう一方で境界に留まる様子を比べられる。寸法の違いによっても、広い色域全体を見る感覚から、輪郭の間の小さな切れ目へと注意が移る。
会場はバンコクのソンワット通り993番地、Play Art House。イベント情報では入場無料と案内されている。10月27日も会期中で、ソンワット通りのアート散策に組み込める。出発前にアーティストの公式展覧会ページで作品画像、展示風景、制作の近景を見比べ、当日の開場については会場に確認したい。現地ではまず画面全体を見渡せる距離から眺め、その後で近づいて一本の弧を追ってみる。記憶の感覚が素材や反復動作からどう浮かぶかが見えてくる。