Boards of Canadaのアルバム『Music Has The Right To Children』のジャケットに写る、あえてぼかされたあの顔。これをPicsArtのAI画像拡大ツールにかけたところ、元々存在しなかったはずの目が一組、新たに描き加えられていた。Engadgetのライター、Manuviraj Godaraによるこの実験は、AI拡大においてもっとも見落とされがちな事実を浮き彫りにしている。それは、AIがぼやけたディテールを「復元」しているわけではなく、統計的な推測に基づいて、縮小すれば元の画像に似て見えるような「新しい画像」を描き出しているに過ぎないということだ。ほとんどの人の顔には目があるため、モデルは「この顔にも目があるはずだ」と仮定し、勝手に描き足してしまう——元の画像には目の痕跡すらまったく見当たらないにもかかわらず、だ。

これは従来の拡大方式とはまったく異なるロジックで動いている。パソコン標準の画像ビューアであれ、どんな画像編集ソフトであれ、従来の拡大手法の原理は基本的に「周辺ピクセルの平均を取る」というものだ。違いはせいぜい、参照するピクセル数と、それぞれにどれだけの重みを与えるかだけである。つまり従来の方法は、写真をより鮮明にするわけではなく、既存の情報を新しい画面サイズに合わせて引き伸ばして埋めているだけなのだ。

従来の4つの拡大方式、それぞれに落とし穴がある

PicsArtのAIが、ぼやけた顔に「存在しない目」を描き足した——画像を拡大するとき、あなたが信じているのはピクセルか、それともAIの憶測か

Nearest-neighbor(最近傍)方式は、ピクセルの平均を取らない唯一の手法だ。最も近いピクセルをそのまま複製するため、元のブロック感がそのまま残る。ドット絵イラストや図表のような輪郭がはっきりした画像には向いているが、通常の写真やグラデーションのある画像に使うと、目立つギザギザ(ジャギー)が発生してしまう。

Bilinear(バイリニア)拡大は、周辺4つのピクセルの平均を取る方式。ブロック感は出ないが、画面全体がやや柔らかく、わずかにピントがボケたような印象になりがちだ。もともとシャープではない写真には向いているが、接写や細部の保持が求められる画像には不向きとされる。

Bicubic(バイキュービック)拡大は、周辺16ピクセルを参照し、近いピクセルほど重みを高くする方式。画質と処理負荷のバランスが良く、bilinearよりシャープでありながらnearest-neighborのようなジャギーも出にくいため、ほとんどの写真にとって「無難な選択肢」と言える。ただしハロー(輪郭部の光暈)が出ることがあるのが欠点だ。筆者はさらに高度なアルゴリズムであるLanczosにも触れているが、処理負荷は大きいものの実際の効果はbicubicとさほど変わらず、bicubicの結果に満足できない場合にのみ試す価値があるとしている。

PicsArtのAIが、ぼやけた顔に「存在しない目」を描き足した——画像を拡大するとき、あなたが信じているのはピクセルか、それともAIの憶測か

一方、AI拡大はアプローチがまったく逆だ。まず大量の高解像度画像を学習させることで「どんなディテールなら『それらしく』見えるか」を覚え込ませ、そのうえで新しい画像を再構築する。この仕組みによって、古い写真の粒子感やぼやけ感を大幅に消し去ることができ、見た目はより鮮明で色鮮やかに仕上がる。しかしその代償として、元の画像には存在しなかったディテールを「捏造」してしまう可能性がある——まさに今回描き足された、あの目のように。筆者の結論は明快だ。正確な復元が求められる写真に、AI拡大を使ってはいけない。

拡大以外にも、フォーマット選びが「その画像で何ができるか」を左右する

JPEGは互換性が最も高く、ファイルサイズも小さいため、大量の写真を保存するのに適している。ただし透明背景をサポートしていないため、ロゴやテキスト画像には向かない。PNGは可逆圧縮フォーマットで、透明チャンネルに対応しており、何度編集しても画質が劣化しない。ロゴ、イラスト、スクリーンショットには最適だが、通常の写真に使うとファイルサイズが不必要に大きくなってしまう。

写真をウェブサイトに掲載する場合、Googleが2010年に発表したWebPフォーマットなら、サイズはPNGのおよそ4分の1、JPEGと比べても25〜34%小さく、ウェブページの読み込み速度に直接影響する。また、主にiPhoneやMacを使っているなら、Apple公式の説明によればHEICファイルは標準的なJPEGのおよそ半分のサイズで同等の画質を実現でき、iPhoneの「写真」アプリで編集すれば編集履歴も保持される。ただし欠点として、Windows環境では追加のプラグインや対応ビューアをインストールしないと開けない点が挙げられる。