鷲を操ってアメリカのナショナル・モールを飛び越える――そう聞くと、どこかのインディーチームが作った『Flappy Bird』のオマージュ作品かと思うかもしれない。しかし実際は、アメリカのホワイトハウスが公式に立ち上げたアーケードサイトに収録されている一作、その名も『Flappy Bill』だ。これは他の4作品とともに、ホワイトハウスが新たに公開したオンライン・プレイグラウンドを構成している。すべてレトロな名作を模した作りながら、テーマはトランプ政権の施政内容にダイレクトに照準を合わせている。
『Trump Saving Tycoon』はクリック式の経営ゲームで、子ども名義の「Trump Accounts」にお金を貯めていく内容。『Supply Line』では不健康な食品が学校給食に入らないよう阻止する。『テトリス』風の『Build The Wall』はブロックを積んで「国境を守り、押し寄せる人波を食い止める」ことが目的。『スネークゲーム』を模した『Rio Run』は川岸を巡回して「不法越境者を一人残らず捕まえる」内容だ。ホワイトハウスによれば、6作目も近日公開予定だという。
ホワイトハウス関係者は『The Washington Examiner』に対し、この企画は「国民全体の共感を呼ぶ形で大統領の数々の実績を伝えるための、政権による革新的な試み」であり、「私たちの楽しく勝者志向の文化と、民主党の暗い社会主義的ビジョンとの対比を際立たせる」ことが目的だと語った。
しかしこのプレイグラウンドが公開されると、ネット上の反応はほぼ全面的な批判となった。X(旧Twitter)ユーザーのTim Isenmanは9月4日、「この呪われたサイトに入っているゲームは、人生で見た中でも最も異常なものの一つだ。これを作った全員が恥を知るべきだし、こんなものを思いついて実際に作った人間はどこかおかしい」と投稿。別のユーザーVolcaholicも「これは本当に邪悪だ。ホワイトハウスが、人間の強制送還をゲーム化したオンライン・プレイグラウンドを公開している。『Build The Wall』でブロックを積んだり、『Rio Run』で不法越境者を捕まえたりする内容だ」と書いた。
Redditでも、このサイトは本来トランプ政権2期分の実績をアピールするはずだったのに、全体のトーンが完全にズレていると疑問視するユーザーが現れた。「これらのゲームは面白くもないし、作りも粗い。安いAIプロンプトで作ったみたいに見える。もしそうならまだいいが、もっと悪いのは、本当に政府の予算を使ってこんな安っぽい宣伝を作ったのかもしれないということだ」というコメントもあった。また、このセンス自体が「4chanのミーム男子」的な自虐ノリにファシズムの皮を被せたものだという意見も出ている。
ホワイトハウスはさらに、Xbox、セガ、パックマン、任天堂GameCubeのブランドロゴを模した一連の宣伝動画を公開し、「愛国者たちよ、アップグレードの時だ」というキャッチフレーズを掲げた。これを受け、多くのプレイヤーがこれらのゲーム会社に対しホワイトハウスへの法的措置を求める声を上げている。
ホワイトハウスがゲームIPを無断使用して物議を醸したのは、これが初めてではない。今年に入り、ホワイトハウスがSNSでシェアした「Make America Great Affiliate」版Pokopiaのミームに対し、ポケモン社が対応。広報担当者は「私たちの使命は世界を一つにまとめることであり、この使命は特定の政治的立場や主張を代表するものではありません」と強調した。昨年も、ホワイトハウスがICEの摘発活動の映像に『Gotta Catch 'Em All』のテーマ曲を合わせたバイラル動画をシェアし、ポケモン社が同様に不満を表明している。さらに以前には、イラン紛争の実際の映像と『Call of Duty』のゲーム映像を混ぜ合わせた宣伝動画が「恐ろしい」と批判されたこともある。
こうした批判に対し、ホワイトハウス広報官のアビゲイル・ジャクソンは、チームとして戦略を変える予定はないと述べた。「魅力的な投稿や優れたミームを通じて、私たちは大統領の非常に人気のある政策アジェンダを効果的に伝えてきました。多くの人が私たちのスタイルを模倣したがるのには理由があります――私たちのメッセージには本当に響くものがあるからです。私たちは、『Halo』でもポケモンでも『ロード・オブ・ザ・リング』でも、他のどんなメディアであっても、人々が理解でき、共感できる形で、彼らのいる場所に届けていきます」