1億ドルを支払って競合他社を9年間市場から締め出す――これが連邦取引委員会(FTC)がZillowを訴えた際の当初の主張だった。この反トラスト訴訟は2026年8月24日、和解という形で決着を迎えた。Zillowは、Redfinをインターネット物件情報サービス(ILS)のアパート広告市場から撤退させていた契約を撤回することに同意し、対抗馬を再び競争の場に戻すこととなった。
FTCが発表したプレスリリースによると、この案件は2025年9月に端を発する。FTCは、ZillowがRedfinに対し1億ドルを提示し、ILSアパート広告事業を9年間停止させるよう求めていたと主張した。同時期、アリゾナ州、コネチカット州、ニューヨーク州、バージニア州、ワシントン州もZillowに対して同様の共同訴訟を起こしており、同年11月にFTCの案件と統合審理されることとなった。
今回の和解条件の中で最も直接的なのは、RedfinがILSアパート広告事業を再開しなければならないという点だ。FTCはさらに、この復帰にあたって「明らかに多くの物件情報」を伴うことを求めており、Redfinが形式的な復帰にとどまらず、実際に競争力を持つことを担保する狙いがある。FTCは声明の中で、ILS市場における競争回復は「コストの削減とイノベーションの促進をもたらし、賃借人や不動産管理会社に恩恵を与えることが期待される」と述べている。
今回の和解は、人事と消費者保護の両面にも影響を及ぼす。Zillowは従業員情報をRedfinに提供し、人材採用ができるようにしなければならない。消費者側については、Zillowは既存顧客が無料かつ無罰則で契約条件を再交渉できるようにする必要がある。
罰金額よりも今回の和解の焦点は「障壁の撤去」に近い――かつて金銭で買い取った市場撤退合意を、機能する商業関係へと一条ずつ書き換えていく作業だ。和解金額や発効スケジュール、両者によるその後の公式コメントについては資料に記載がなく、詳細は今後の公式発表を待つ必要がある。