夜10時、トラム(叮叮車)がジョンストン・ロードを通り過ぎる。車窓の外にはまだ解散しない行列が――そこがC Dessertだ。この湾仔の糖水店は一般的な糖水屋より内装がすっきりしているが、店外の行列は途切れることがない。訪れる客の多くは「食べたらすぐ席を譲る」という暗黙の了解を持っている。看板メニューのタピオカココナッツミルク、マンゴー糖水、豆腐花はどれも手頃な価格で、回転率も高い。

香港において糖水(トンスイ)は決してデザートではなく、味の濃い夕食の締めくくりとして存在する。ゴマ、生姜、豆腐、蓮の実、陳皮、杏仁、ココナッツミルク――こうした味わいが、香港人におなじみのスイーツの論理を支えてきた。今回紹介する10軒は、大きく二つの生き方に分かれる。一つは数十年メニューを変えていない老舗の看板店、もう一つはフルーツや盛り付けを一新した新顔だ。

数十年メニューを変えない老舗たち
銅鑼灣・駱克道506号の路面店「港澳義順牛奶公司」は内装がシンプルで、メニューも数十年前のまま。生姜、蒸しプリン、黒ゴマ味の蒸しミルクスイーツが看板メニューで、食べ終わればすぐに席を譲る必要があるほど、店外の行列も容赦がない。

深水埗・欽州街77-79号の路面店「緑林甜品」は純粋な老舗路線を貫き、創作メニューは一切なし。栗、ゴマ、杏仁露、梨、さつまいも、パパイヤといった定番のみを揃える。男記雲吞麺を食べた後、しょっぱさを中和しに立ち寄るのにぴったりだ。

北角・福元街7号利道大廈の路面店「福元湯丸」は、ゴマ餡入りの団子をさまざまなスープに浸したものが主力。生姜スープや黒ゴマスープの組み合わせがおすすめだが、フルーツ味好きならマンゴー柚子タピオカに変更するのもいい。同じく伝統路線を貫くのは太子・西洋菜北街318号の「真苑饎館」。馬蹄(クワイ)、蓮の実、小豆、杏仁茶といった定番に加え、ピスタチオスープは特に濃厚に仕上げている。

九龍・新界にも複数の支店を持つ「地茂館甜品」は、メニューが長年変わっていない。マンゴー柚子タピオカ、黒ゴマ糊、看板の杏仁茶、蒸しミルクプリンが店のおすすめ――味わうのは甘さだが、残るのは何十年も変わらないノスタルジーだ。
フルーツと盛り付けを一新した新顔たち

「甜姨姨」は鑽石山、旺角、銅鑼灣に支店を持ち、フルーツ主体の路線をとる。紫米マンゴーとドリアン豆腐プリンが看板メニューで、量は二人でシェアするのにちょうどよく、甘さも控えめに調整されている。佐敦発祥の「佳佳甜品」は現在、銅鑼灣と旺角で味わえる。杏仁糊、黒ゴマ糊、生姜団子スープ、里芋タピオカ蓮の実などが手頃な定番だ。

黄大仙、九龍城、牛頭角に支店を持つ「金滿堂甜品」は、マンゴー、チョコレート、ゴマ味とラインナップが揃う。九龍城店が最大規模で、里芋・じゃがいも豆腐花と団子は必食メニューだ。Foodie Forksの報道によれば、金滿堂甜品は同メディアの2025年ベストデザート賞を受賞したという。複数店舗を展開する「龍糖坊」は素材の手作りにこだわり、看板は10年物の陳皮小豆汁と卵白入り杏仁茶。暑い日にはココナッツミルク麺とマンゴー糖水を試すのもいい。
10軒のうち、住所と電話番号が公開されているのはC Dessert(湾仔ジョンストン・ロード35-45号Newman House地下1D、電話2493 3349)、福元湯丸(北角福元街7号利道大廈地下)、港澳義順牛奶公司(銅鑼灣駱克道506号地下、電話2591 1837)、緑林甜品(深水埗欽州街77-79号地下、電話2361 4205)、真苑饎館(太子西洋菜北街318号地下、電話2381 1369)のみ。その他のブランドは香港内に複数の支店を展開しており、詳細な住所は公式情報またはOpenriceで直接確認することをおすすめする。






