いつもはパリの製菓技術が世界へ発信される側だが、今回はその逆——台湾の金萱茶で香りづけしたサントノーレが、9月にシャンゼリゼの旗艦店のショーケースに並ぶことになった。
Ladurée所属のエグゼクティブパティシエ、Ann Liが、ブランド第6回目となる「グローバルパティシエコンベンション(Global Pastry Chef Convention)」で優勝を勝ち取った。この大会は毎年ひとつのフランス菓子の定番を課題として指定するもので、今年のお題はサントノーレ(Saint-Honoré)。パイ生地の土台にシュー、カスタード、生クリームを幾重にも重ねる構造は工程が複雑で、パティシエの食感とバランス感覚が最も試される一品だ。各国のシェフが同じ舞台で腕を競うなか、Ann Liは伝統的なレシピをそのまま踏襲せず、台湾茶「台茶12号」こと金萱茶をお菓子の核心に据えた。

作品名は「Saint-Honoré Jin Xuan & Apple」。金萱茶ならではのミルキーな香りと花の香りをベースに、青リンゴの酸味とグリーンカルダモンのスパイシーさを重ね、仕上げにフレッシュなナスタチウムの葉をあしらった。茶の香り、果実の酸味、スパイスがフランス菓子の構造の中で幾層にも織り重なり、最終的に世界各国の審査員を納得させ、今回の優勝作品となった——台湾茶がこのような形でLaduréeの世界舞台に立ったのは、これが初めてのことだ。
金萱は台湾が独自に育成した茶樹品種で、天然のミルキーな香りと繊細な花の香りが特徴。ここ数年、国際的な製菓・チョコレートブランドから注目を集めてきたが、ブランドのグローバルコンペティションの優勝作品にそのまま採用されるのは、それでもなお異例の扱いといえる。
ブランド側の確認によると、この優勝作品は今年9月、パリのシャンゼリゼ旗艦店とLadurée台湾店舗で同時に数量限定発売される予定。正式な発売日、販売期間、価格については、現時点ではまだ発表されていない。






