金子半之助と聞いて台湾人が思い浮かべるのは、たいてい穴子やエビ、半熟玉子がぎっしり乗った天丼だ。しかし今回、信義区の遠東Garden City B2にオープンするのは、同じブランド内でもまったく違う食べ方の店――「日本橋 天ぷらめし 金子半之助」。海外初出店で、板前による揚げたて提供を売りにしている。
違いはこうだ。天丼は揚げた天ぷらを一気に白飯の上に乗せてタレをかけ、ご飯が油の香りを吸い込む仕組み。一方「天ぷらめし」は、職人が客の食べるペースに合わせて少しずつ揚げていき、揚げては食べ、また揚げては食べる――伝統的な板前天ぷらのリズムに近いスタイルを、手頃な価格帯に落とし込んでいる。日本橋本店はTabelogで約3.57点、口コミ数は1,800件超、保存数は約9万件を記録し、「天ぷら百名店2025」にも選出。ランチ・ディナーとも予算は1,000〜1,999円と、桁違いの高級天ぷら名店が居並ぶ中でこの価格帯こそが、このブランド最大の武器と言える。

台湾店も同じ発想を踏襲し、席数は約20席のみ。すべてコの字型の一枚板カウンターを囲む配置で、中央の揚げ台が店全体の舞台となる。提供順序にもこだわりが見られ、まず季節野菜、紫蘇鶏肉、イカからスタートし、続いて尾赤エビ、白身魚へ、そして最後はブランドを象徴する看板メニュー、長さ約30センチの穴子で締めくくる。
もう一つの見どころは、半熟玉子天ぷらの食べ方だ。そのまま食べるのではなく、熱々の白飯の上に乗せて割り、黄身をご飯に流し込んでからタレを絡める。脇役だったはずの白飯が、それだけで一品料理に変わる瞬間だ。日本の本店でもこの食べ方はファンの間でよく共有されている。店内では柚子胡椒風味のイカなど3種類の漬物が食べ放題で提供され、柚子風味のイカも同様にご飯に乗せられる、揚げ物が続く合間の口直しとして活躍する。味付けは、秘伝のタレ、天日塩、日本産梅ダレ、そしてブランド伝統の「醍醐味 黒七味」の4種類を用意。まずは素材そのものの味を楽しみ、その後エビ、白身魚、鶏肉、穴子それぞれの脂の乗り方や甘みに合わせて調味料を変えていく――この“自分で探る楽しみ”こそ、板前スタイルならではの体験として意図的に残されている部分だ。
台湾1号店のオープン日はまだ発表されておらず、メニューの詳細や価格についても、ブランドおよび遠東Garden City側の正式発表を待つ必要がある。






