台北で「焼き魚を食べに行く」と言うと、選択肢は大抵二択だ。和食の定食か、複数人でないと食べきれない一尾丸ごとの大きな魚。FISH BAR 250° 洋食烤魚 by VG 忠孝復興の路地裏にオープンしたこの店がやろうとしていることはシンプルだ。魚をこの二つの型から解き放ち、炭火、洋食ソース、フルーツの酸味で改めて組み立て直す。

250°:まず魚を美味しくする、それから他のことを考える

店名の「250°」は単なる話題作りではなく、チームが導き出した火加減の答えだ。魚が高温に触れた瞬間、表面の水分が先に蒸発し、皮が収縮して香ばしくなり、脂と香りが引き出される。炭火はそこにほのかな燻製の香りを重ねる。FISH BAR 250°が捉えたいのは、まさにこの風味が変化する一瞬だ。

だからこの店は重いソースで味を覆い隠すのではなく、火加減を出発点として、皮の香ばしさと魚本来の脂を活かしたまま、フルーツや野菜、洋食ソースで酸味と香りを足していく。魚を「美味しく味付けする」のではなく、魚がもともと持つ味を、まずきちんと扱う。

魚もソースも自分で選ぶ:ひとり用セットの注文方法

食事形式は「ひとり用炭火焼き魚セット」。固定メニューというより、自由に組み合わせるスタイルに近い。

まずは魚を選ぶ。現在のメイン魚種はサバ、サーモン、メダイ、ハナダイ、アイスランド産タラ、ゴマサバで、脂のノリ、身質、香りがそれぞれ異なる。脂の豊かさを求めるならサーモン、繊細で爽やかな味を求めるなら白身魚、昔ながらの魚らしい香りが好きならサバやゴマサバを選ぶといい。

次にソースを選ぶ。トマトサルサ、パイナップルパッションフルーツ、白ワイン酵母種ソースなど、フルーツの酸味と甘みで魚の脂や炭火の香ばしさとのバランスを取る。セットにはサラダ、副菜、主食も付き、お酒や他のドリンクも用意されているので、完成度は焼き魚にご飯と味噌汁を添えただけのものより、一皿の洋食料理に近い。同じテーブルで「どの魚にするか」を相談する必要もなく、それぞれ好きなものを注文すればいい。

フルーツは飾りではなく、空間も「映え」だけではない

ブドウ、パイナップル、パッションフルーツ、トマトが魚料理や単品メニューに大量に登場するのが、この店の最も個性的なところだ。魚とフルーツの組み合わせは加減を誤ると「さっぱり」から一気に「フルーツサラダ」に転落してしまうが、ここでは天然の酸味で魚の脂を切りつつ、炭火が残す香ばしさをしっかり受け止めている。従来の濃厚なソースより軽やかで、より明るい味わいだ。焼き魚を食べ進めるうちに飽きてしまう人にとっても、この酸味がセットに持続力を与えてくれる。

空間づくりも控えめにするつもりはないようだ。店内に入るとまず、レストラン中央に吊るされた大型の魚群アートオブジェが目に入る。透明と深いブルーの魚体が円形のライトに沿って渦を巻き、まるで海流に乗って泳ぐ魚群のようだ。天井は深海ブルーを基調とし、木材や石目調のカウンター、白い壁を組み合わせることで、一般的なシーフードレストランというより、ギャラリーやコンテンポラリー・ビストロに近い雰囲気に仕上がっている。

興味深いのは、こんなデートにぴったりな空間でありながら、「ひとりご飯」もきちんとケアされている点だ。店内には大きなオープンカウンターが設けられており、大人数でシェアする大皿の焼き魚をメインにするのではなく、ひとり用の焼き魚セットをそのままメインの食事スタイルとして設計している。ひとりで座って一尾の魚を注文しても、置いてけぼりにされたような寂しさを感じることはない。二人でのデートや友人との食事なら、それぞれ好きな魚を選んで、単品料理をシェアすることもできる。忠孝復興エリアでひとり向けレストランや東区のデートスポットを探している人、あるいは仕事帰りにふと魚をしっかり食べたくなった人にとって、ここは新たな選択肢になりそうだ。

FISH BAR 250° 洋食烤魚

住所|台北市大安区復興南路一段107巷5弄3号1樓
電話|02-2579-1610